地球科学問題演習

地学・地球科学に関する問題を解いたりします。

P波の走時曲線 [北大院理/2014二次/2-1]

考える等方均質な仮想地球について、P波速度は一定である。このとき震源から観測点までの最短の伝搬経路は下図のようになる。
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よって、P波が震源の対蹠点にある観測点(1)に到達する最短の時間は、
  
\displaystyle
\frac {6000\times2\,[\mathrm{km}]} {10\,[\mathrm{km/s}]} = 1200\,[\mathrm{s}]
となる。

また、P波が角距離60度の地表点にある観測点(2)に達する最短の時間は、震源・仮想地球の中心・観測点(2)の3点からなる三角形は正三角形であるので、
  
\displaystyle
\frac {6000\,[\mathrm{km}]} {10\,[\mathrm{km/s}]} = 600\,[\mathrm{s}]
となる。
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次に、与えられた条件でのP波走時Tと角距離Δの関係は、図2の通り、円周角・中心角の関係と、正弦定理を用いて以下の通り表される。
  
\displaystyle
T\,[\mathrm{s}]=\frac {2\times 6000 \times \sin{(\Delta/2)}\,[\mathrm{km}] } {10\,[\mathrm{km/s}]} 
= 1200\sin{(\Delta/2)}\,[\mathrm{s}]

上式をもとに走時曲線のグラフを描くと、以下の通りとなる。
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この問題ではP波速度が一定で均質な仮想地球を考えたが、実際の地球は均質でなく、またP波速度も深さなどによって変化する。これらのため、ある角距離の範囲では地震波が観測されない。この範囲のことを「シャドーゾーン」と呼ぶ。