地球科学問題演習

地学・地球科学に関する問題を解いたりします。

地質図の解釈、堆積岩、古生物[名大院理/2019/地球環境科学系/問題B(地球科学Ⅰ)]

問題1

問1 

(1)表1の数値をプロットすると、以下のようになる。点線は(2)のために引いたものであり、解答には不要。

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問題1 問1(1)

 

(2)(1)のグラフのプロットから近似直線を引き、表1の空欄を埋める。各地形面の鉛直変位量(つまり、XとYの差)をプロットすると、以下のようになる。

 

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問題1 問1(2)

問2

平均水平変位速度;

M1面とL1面の水平変位の食い違いは、表1より、70 mである。M1面とL1面の年代の差は40,000 年。断層変位速度は一定と仮定しているので、

70 [m] / 40,000 [yr] = 0.00175 [m/yr] = 1.8 × 10^(-3) [m/yr]

平均鉛直変位速度;

M1面を構成する堆積物が堆積を始めてから断層によって変位させられた量は、問1(1)グラフより、39 mである。これをM1面の堆積年代で割ればよいから、

39 [m] / 80,000 [yr] = 0.000485 [m/yr] = 4.9 × 10^(-4) [m/yr]

 

問3

オルソクォーツァイト

成因;石英粒子は丸みを帯び、それ以外の鉱物はほとんど消失していることから、長期間にわたって風化・運搬作用を受けた粒子が堆積したものと考えられ、大陸における砂漠や大河川河口において堆積したものと考えられる。

 

問4

③、⑤

いずれの鉱物も硬くて化学的に安定であり、風化に強い鉱物であるため。

 

問5

⑦⇒④⇒⑤⇒①⇒

※砂岩・泥岩/花崗岩境界は直線的(高角度)で、③は不要。断層Fの活動開始は第四紀初期であり、一連の河成段丘面の形成(8万年以降)よりは古い時期なので⑥、②の順番となる。

 

問題2

問1

琥珀に含まれる化石、印象化石
前者は樹脂の中に生物の体が埋没し、腐敗や攪乱から守られて保存されたもの。例として、虫入り琥珀が挙げられる。後者は、泥流などによって海底に生息している動物群が短時間のうちに埋められたために、攪乱を受けることなくその生物の形態が化石として保存されたもの。例としてエディアカラ動物群の化石が挙げられる。

 

問2

一度ある地層中に埋積され化石となったものが浸食を受けて洗い出され、別の新しい地層中に再び埋積され化石となったもの。

 

問3

化石の中に保存されている有機化合物。通常の化石は石化の過程で生体分子の構造は消失もしくは変化するが、分子化石が得られれば、対象としている古生物が生存していた際のDNAやタンパク質の情報を得ることが出来る。

 

問4

貝塚は貝類だけでなく魚や動物の骨、石器などが混在していること、その分布は遺跡の付近の比較的狭い範囲に限られることが期待される。一方、自然貝層は貝類の死骸が堆積したものであるため、より広域に分布を持ち、鉛直分布も認められると考えられる。

 

問5

石灰質プランクトン遺骸に由来する炭酸塩鉱物が海中において溶存せずに堆積・沈殿できる最大深度。

※深度が増加による水圧上昇、海水温低下、pH低下によって炭酸塩鉱物の溶解反応が促進される。

珪質軟泥、褐色粘土

※前者は珪藻・放散虫を起源とする。後者は生物生産性の低い、酸化的な環境でたまった泥であるため、褐色を呈する。